要望書
※令和4年度についてはしばらくお待ちください。
令和3年度 要 望 書
新学習指導要領が完全実施となる令和2年度は、新型コロナウイルスの蔓延で世界レベルの危機を迎えています。3月以降、東京都内の小中学校はおよそ3か月にわたり臨時休業で止まりました。この間、児童生徒の学力の保障や心的ストレスの解消、体力の低下防止などの諸課題が深刻になりました。
その一方で、各区市町村の教育委員会や各学校での工夫と努力により、児童生徒の安全確認や学習の保証に向けた取り組みを行ってきました。SNSを活用した情報配信やオンライン授業・リモート会議等、ICTの必要感も増しました。しかし、自治体によってICT環境の整備には差があり、まだ十分に浸透していません。さらに、情報機器を授業活用や学習支援に役立たせるための専門知識やスキルが教員に追い付かず、情報教育完備の要求や期待が教員の勤務過多に拍車をかけかねません。
教員の勤務実態に目を向ければ、学校休業中は在宅勤務を余儀なくされる中でも定期的な電話等での児童の健康観察、オンライン学習の準備等が求められ、新たな勤務のスタイルの形成が急務となりました。一方で学校再開後の教育課程の見直し、授業時数や指導内容の確保、学校行事の精選と再構築等、今年度に限った新たな課題や、今後の学校教育の転換をも見据えた指導観の再構成についても視野に置く必要があります。教員の働き方改革の流れを止めないまま、「コロナ対策」としての児童及び教職員の健康と安全を保障し、学力を維持向上させていかねばなりません。
私たち東京都公立小学校副校長会は、高い水準の豊かな教育を実現するためには「教育活動充実のための施策」「教育環境条件を改善するための施策」を講じるとともに、「副校長の職務内容や処遇を改善するための施策」をすすめることが必要である、と提言します。
より高い水準の豊かな教育を実現するために、以下の要望事項の実現に向けて、格段のご尽力をいただきますようお願い申し上げます。
〔要望事項〕
(1)児童一人一人へのきめ細やかな教育活動を充実させるための施策の実現
①児童・生徒全員へのタブレット配布を早急に実現されるよう要望します。
文部科学省は、2020年度の予算として全国の小中学生に一人1のタブレットを配備でできるように示
しました。ぜひ今年度中に全小中学校に完備できるよう対応願います。
②スクールサポートスタッフ等、多様な専門性を持つ臨時職員の全校配置を要します。
児童生徒一人1台のタブレットの配備と同時に、それらのICT機器を有効な教育資源として活用させる
ため、専門的知識をもつICT支援員や外国語の指導員等、教員の指導を助ける専門的スタッフが必要です。
また、長期の学校休業に伴う、児童生徒の不安や神的ストレスを緩和するため、スクールカウンセラーや
スクールソーシャルワーカー等の人材の配置がさらに充実されることも必要です。これらの人材を各学校に
常時配置されることで、学校の教育活動は有効に機能します。各学校のニーズに応じてSSSやSSW等の人材
が常勤、または2校に2名配置等、柔軟な配置でさらに充実を図るよう求めます。
③加配教員の拡充~第3学年以上における35人以下学級の編制を要望します。
教員の加配措置による第2学年までの35人学級導入は、入学期のきめ細やかな児童指導に当たり有効
に機能しています。その一方で、3年生になると学級規模が拡大し、学級編制替えに加えて40人学級とな
って人間関係にひずみを来す「小3プロブレム」の問題が多くなっています。第3学年以上の35人学級
を都独自で進められることを求めます。
④給食の牛乳パックのリサイクルの業務委託化を要望します。
令和2年度4月より学校での給食の牛乳パックのリサイクルが始まり、各学校で給食後に児童が牛乳パ
ックを洗って開くことが求められています。牛乳パックを児童が洗って開くことで、児童が給食を食べる
時間がさらに減ることになり、あまり早く給食を食べられない児童にとっては給食を最後まで食べられな
いこともあり、給食への苦手意識がさらに出てきます。
また、学校ではアレルギー対応に細心の注意を払っていますが、牛乳アレルギーの児童も在籍すること
から、開くときの牛乳の飛び散りなどの配慮が必要となり教員の負担がさらに増加してきています。児童
が安心して給食を食べることができ、教員が安全・安心を含めた給食指導に全力をつくせるよう、牛乳パ
ックのリサイクルを業者などへの委託するようお願いします。
(2)教育環境条件を改善するための施策の実現
⑤感染症予防のための十分な対策を要望します。
新型コロナウイルスは、今後も流行の波が来ると予想され、予防対策が求められています。現在も、児
童生徒及び教職員や来校者全員へのマスクの着用や手洗い・消毒の徹底が当たり前の習慣となっています。
また、検温の励行、日常的な消毒・換気・児童生徒同士の直接接触や飛沫感染を防ぐ距離の確保等、可能
な限りの予防対策を心掛けています。万全な対策を徹底することは難しい面がありますが、学校の実態や
地域の要請に応じて、さらに綿密な対策を講じていくための予算措置を要望します。
また、密室・密集を防ぐため、定期的な換気の徹底が求められます、一方で猛暑対策もさらに切実な問
題となります。各教室の冷房化に比べて、体育館や給食調理室等、適切な温度調節や空気調節が進んでい
ない施設も多くあります。
●各学校の体育館の冷房化を進めてください。
●各学校の給食調理室作業場に冷房を設置してください。
(3)副校長の職務内容や処遇を改善するための施策の実現
⑥効率的に講師・産育休代替教員を配置するための措置の改善を要望します。
産育休や休職等、欠員補充の「人捜し」業務が副校長の重要業務となり、時間と労力を要します。都か
らいただく登載者名簿で連絡を試みても、最新の情報でないためほとんどの候補者が任用済みで、徒労に
終わってしまうことや、名簿以外からようやく見つかって特認手続きを取ろうとして、免許更新の関係等
の諸条件により、すぐには任用できない現状があります。区市の教育委員会でも任用に当たり人事管理を
していただきますが、基本的には各学校で人探しをしています。特に副校長がその作業に当たり、多くの
学校で副校長の時間と労力が臨時的任用の対応に追われています。臨時的任用教員の任用業務を、区市町
村教育委員会で担当していただくようお願いします。
または、登載者名簿の任用実態が各学校からの情報提供を直接反映できるよう活用の仕方を工夫して、
各学校での「人探し」の負担の削減を図るようお願いします。
●登載者名簿は、各副校長の端末パソコンから閲覧できるようにしてください。
●連絡をして判明した登載者の任用情報は、ファイルの共有化など、速やかにデータに反映できるようにし
てください。
●候補者が教員免許を失効している場合に、特別措置として暫定的に勤務を可能にして、勤めながらの更新
免許取得ができるようにしてください。
●10月以降も任用の必要が生じた場合に、講師対応でなく、臨時的任用としてフルタイムの代替教員を配
置できるようにしてください。
⑦勤務管理(出退勤・休暇申請等)を含む校務・事務処理のICT化を要望します。
多くの自治体で勤務管理(出退勤・休暇申請等)を含む校務・事務処理のICT化が進んでいます。区市
によって進行度に差があり、区をまたいでの進学・転学や教員の異動の際に、連絡違いによる情報伝達に支
障が生じています。システムの一元化、または共有等の改善を求めます。
また、出退勤についても、電算管理ができるようになり、多くの学校で導入されています。しかし、管理
は副校長が中心となって、集計したり紙ベースにして提出したりしています。そのことが副校長の業務負担
をかえって重くしている実態もあります。電算処理システムを進めて、出勤簿や休暇簿を不要にしたり、区
市教育委員会人事担当係が一括管理できるようにしたりする改善を求めます。
⑧副校長の多岐に渡る職責に見合った処遇を講じていただくよう要望します。
副校長の職責に応じた処遇として、管理職手当の期末勤勉手当及び退職金への反映のための予算処置を図
っていただくよう求めます。
また、特別支援学級(固定級)設置校の副校長にとっては、通常学級のみの学校に対して事務的な取り扱
いを含む職務量が増えていることから、特別支援学級設置校、特別支援教室拠点校の副校長に対し、特別手
当で処遇を改善されることを求めます。
令和3年度 要 望 書
新学習指導要領が完全実施となる令和2年度は、新型コロナウイルスの蔓延で世界レベルの危機を迎えています。3月以降、東京都内の小中学校はおよそ3か月にわたり臨時休業で止まりました。この間、児童生徒の学力の保障や心的ストレスの解消、体力の低下防止などの諸課題が深刻になりました。
その一方で、各区市町村の教育委員会や各学校での工夫と努力により、児童生徒の安全確認や学習の保証に向けた取り組みを行ってきました。SNSを活用した情報配信やオンライン授業・リモート会議等、ICTの必要感も増しました。しかし、自治体によってICT環境の整備には差があり、まだ十分に浸透していません。さらに、情報機器を授業活用や学習支援に役立たせるための専門知識やスキルが教員に追い付かず、情報教育完備の要求や期待が教員の勤務過多に拍車をかけかねません。
教員の勤務実態に目を向ければ、学校休業中は在宅勤務を余儀なくされる中でも定期的な電話等での児童の健康観察、オンライン学習の準備等が求められ、新たな勤務のスタイルの形成が急務となりました。一方で学校再開後の教育課程の見直し、授業時数や指導内容の確保、学校行事の精選と再構築等、今年度に限った新たな課題や、今後の学校教育の転換をも見据えた指導観の再構成についても視野に置く必要があります。教員の働き方改革の流れを止めないまま、「コロナ対策」としての児童及び教職員の健康と安全を保障し、学力を維持向上させていかねばなりません。
私たち東京都公立小学校副校長会は、高い水準の豊かな教育を実現するためには「教育活動充実のための施策」「教育環境条件を改善するための施策」を講じるとともに、「副校長の職務内容や処遇を改善するための施策」をすすめることが必要である、と提言します。
より高い水準の豊かな教育を実現するために、以下の要望事項の実現に向けて、格段のご尽力をいただきますようお願い申し上げます。
〔要望事項〕
(1)児童一人一人へのきめ細やかな教育活動を充実させるための施策の実現
①児童・生徒全員へのタブレット配布を早急に実現されるよう要望します。
文部科学省は、2020年度の予算として全国の小中学生に一人1のタブレットを配備でできるように示
しました。ぜひ今年度中に全小中学校に完備できるよう対応願います。
②スクールサポートスタッフ等、多様な専門性を持つ臨時職員の全校配置を要します。
児童生徒一人1台のタブレットの配備と同時に、それらのICT機器を有効な教育資源として活用させる
ため、専門的知識をもつICT支援員や外国語の指導員等、教員の指導を助ける専門的スタッフが必要です。
また、長期の学校休業に伴う、児童生徒の不安や神的ストレスを緩和するため、スクールカウンセラーや
スクールソーシャルワーカー等の人材の配置がさらに充実されることも必要です。これらの人材を各学校に
常時配置されることで、学校の教育活動は有効に機能します。各学校のニーズに応じてSSSやSSW等の人材
が常勤、または2校に2名配置等、柔軟な配置でさらに充実を図るよう求めます。
③加配教員の拡充~第3学年以上における35人以下学級の編制を要望します。
教員の加配措置による第2学年までの35人学級導入は、入学期のきめ細やかな児童指導に当たり有効
に機能しています。その一方で、3年生になると学級規模が拡大し、学級編制替えに加えて40人学級とな
って人間関係にひずみを来す「小3プロブレム」の問題が多くなっています。第3学年以上の35人学級
を都独自で進められることを求めます。
④給食の牛乳パックのリサイクルの業務委託化を要望します。
令和2年度4月より学校での給食の牛乳パックのリサイクルが始まり、各学校で給食後に児童が牛乳パ
ックを洗って開くことが求められています。牛乳パックを児童が洗って開くことで、児童が給食を食べる
時間がさらに減ることになり、あまり早く給食を食べられない児童にとっては給食を最後まで食べられな
いこともあり、給食への苦手意識がさらに出てきます。
また、学校ではアレルギー対応に細心の注意を払っていますが、牛乳アレルギーの児童も在籍すること
から、開くときの牛乳の飛び散りなどの配慮が必要となり教員の負担がさらに増加してきています。児童
が安心して給食を食べることができ、教員が安全・安心を含めた給食指導に全力をつくせるよう、牛乳パ
ックのリサイクルを業者などへの委託するようお願いします。
(2)教育環境条件を改善するための施策の実現
⑤感染症予防のための十分な対策を要望します。
新型コロナウイルスは、今後も流行の波が来ると予想され、予防対策が求められています。現在も、児
童生徒及び教職員や来校者全員へのマスクの着用や手洗い・消毒の徹底が当たり前の習慣となっています。
また、検温の励行、日常的な消毒・換気・児童生徒同士の直接接触や飛沫感染を防ぐ距離の確保等、可能
な限りの予防対策を心掛けています。万全な対策を徹底することは難しい面がありますが、学校の実態や
地域の要請に応じて、さらに綿密な対策を講じていくための予算措置を要望します。
また、密室・密集を防ぐため、定期的な換気の徹底が求められます、一方で猛暑対策もさらに切実な問
題となります。各教室の冷房化に比べて、体育館や給食調理室等、適切な温度調節や空気調節が進んでい
ない施設も多くあります。
●各学校の体育館の冷房化を進めてください。
●各学校の給食調理室作業場に冷房を設置してください。
(3)副校長の職務内容や処遇を改善するための施策の実現
⑥効率的に講師・産育休代替教員を配置するための措置の改善を要望します。
産育休や休職等、欠員補充の「人捜し」業務が副校長の重要業務となり、時間と労力を要します。都か
らいただく登載者名簿で連絡を試みても、最新の情報でないためほとんどの候補者が任用済みで、徒労に
終わってしまうことや、名簿以外からようやく見つかって特認手続きを取ろうとして、免許更新の関係等
の諸条件により、すぐには任用できない現状があります。区市の教育委員会でも任用に当たり人事管理を
していただきますが、基本的には各学校で人探しをしています。特に副校長がその作業に当たり、多くの
学校で副校長の時間と労力が臨時的任用の対応に追われています。臨時的任用教員の任用業務を、区市町
村教育委員会で担当していただくようお願いします。
または、登載者名簿の任用実態が各学校からの情報提供を直接反映できるよう活用の仕方を工夫して、
各学校での「人探し」の負担の削減を図るようお願いします。
●登載者名簿は、各副校長の端末パソコンから閲覧できるようにしてください。
●連絡をして判明した登載者の任用情報は、ファイルの共有化など、速やかにデータに反映できるようにし
てください。
●候補者が教員免許を失効している場合に、特別措置として暫定的に勤務を可能にして、勤めながらの更新
免許取得ができるようにしてください。
●10月以降も任用の必要が生じた場合に、講師対応でなく、臨時的任用としてフルタイムの代替教員を配
置できるようにしてください。
⑦勤務管理(出退勤・休暇申請等)を含む校務・事務処理のICT化を要望します。
多くの自治体で勤務管理(出退勤・休暇申請等)を含む校務・事務処理のICT化が進んでいます。区市
によって進行度に差があり、区をまたいでの進学・転学や教員の異動の際に、連絡違いによる情報伝達に支
障が生じています。システムの一元化、または共有等の改善を求めます。
また、出退勤についても、電算管理ができるようになり、多くの学校で導入されています。しかし、管理
は副校長が中心となって、集計したり紙ベースにして提出したりしています。そのことが副校長の業務負担
をかえって重くしている実態もあります。電算処理システムを進めて、出勤簿や休暇簿を不要にしたり、区
市教育委員会人事担当係が一括管理できるようにしたりする改善を求めます。
⑧副校長の多岐に渡る職責に見合った処遇を講じていただくよう要望します。
副校長の職責に応じた処遇として、管理職手当の期末勤勉手当及び退職金への反映のための予算処置を図
っていただくよう求めます。
また、特別支援学級(固定級)設置校の副校長にとっては、通常学級のみの学校に対して事務的な取り扱
いを含む職務量が増えていることから、特別支援学級設置校、特別支援教室拠点校の副校長に対し、特別手
当で処遇を改善されることを求めます。