東京都公立小学校副校長会

令和7年度

令和7年度 要望書(案)

※7月3日現在、幹事研修会時の案です。今後若干修正する予定です。

〔要望事項〕

(1)児童一人一人へのきめ細やかな教育活動を充実させるための施策の実現

(1)―①学校規模(学級数)による講師任用時数格差をなくすことを要望する。

・都内各校において教職員の安定的な配置と学びの質の確保が課題となる中、講師の任用は学校運営における重要な要素となっております。特に、加配による人的支援や特別支援教育、学力保障において講師の果たす役割は年々高まっており、現場ではその活用が不可欠な状況です。しかしながら、現行の制度では、児童数や学級数といった学校規模によって講師任用時数に大きな差が生じており、特に中規模・小規模校においては、必要な支援体制を十分に確保できない実情があります。たとえば、同じように多様な児童や特別な教育的ニーズを抱える子どもが在籍していても、大規模校と比較して講師任用時数が著しく少なく、支援が追いつかないケースが散見されます。講師任用時数の設定が学校規模のみに基づいている現状では、教育的な配慮が必要な場面に柔軟に対応することが難しくなり、結果として子どもたちへの教育の質に差が生じかねません。こうした格差は、学校間の公平性を損なうだけでなく、教職員の過重負担にもつながっております。 つきましては、学校の実態に応じた柔軟かつ弾力的な講師任用時数の配分を可能とする制度改善、ならびに学校規模に依存しすぎない人的支援の再構築をご検討いただきたく、ここに強く要望いたします。

(1)-② 算数少人数指導および追加加配教員の定数配置の要望

  ・算数においては、学習内容の系統性や積み上げが重視される一方で、児童一人一人の理解度には大きな差が見られるのが現状です。こうした中、少人数による指導体制は、児童のつまずきを早期に発見し、個別に応じた支援を行う上で非常に有効であることを、現場の実践から強く実感しております。しかし、現行の加配措置では人的資源が不十分な場面が多く、教員一人当たりの負担が増加し、継続的な指導が困難となるなど、安定した学習環境の確保が難しくなっている状況があります。つきましては、算数における少人数指導の効果を十分に発揮するために、現行の加配措置に加え、もう一人の教員を加配できる制度の創設と、それを定数化によって安定的に確保できる仕組みの構築を強く要望いたします。教員配置が安定することで、計画的かつ継続的な学びの場が実現し、児童一人一人に寄り添った教育の充実が図れるものと考えます。

(1)③ 副校長の複数配置

・児童の多様化、教職員の働き方改革、地域との連携、ICTの活用など、学校運営を取り巻く環境が年々複雑化・高度化しております。とりわけ、20学級を超える大規模校においては、教育課程の管理、教職員の人事・勤務管理、危機対応、特別支援教育や保護者対応など、副校長に求められる役割と責任は非常に大きく、単独での対応には限界を感じる場面が多くなっております。現在の制度では、原則として副校長は11名の配置となっておりますが、20学級を超える規模の学校では、日常の業務量や緊急対応の頻度に対して、一人の副校長では対応しきれない事例が生じています。結果として、校長の業務が過度に集中したり、管理職の不在時に迅速な意思決定が困難になったりするなど、組織マネジメント上のリスクも顕在化しております。また、教職員数の増加により、面談や指導・支援の機会も多く必要とされる中で、副校長が教育的リーダーシップを十分に発揮しにくい構造となっており、学校全体としての教育の質に影響を及ぼす恐れもございます。 つきましては、20学級以上の大規模校において、副校長の複数配置を制度として明確化・拡充いただきたく、ここに強く要望いたします。副校長を複数配置することで、学校運営の機能強化はもとより、組織の安定、教育活動の質の向上、教職員の働きやすさの確保にもつながると確信しております。

 

  (1)-④クレームへの対応

・近年、学校に対する保護者からの要望や問い合わせは多様化・複雑化しており、対応には迅速かつ適切 な判断が求められる場面が増えております。中でも、保護者からの強いクレームや法的な見解を含む主張がなされるケースにおいては、教職員だけで対応するには限界があり、精神的・時間的負担も大きくなっているのが現状です。副校長として日々多くの対応にあたる中で、学校側の説明が誤解なく伝わるよう配慮を重ねても、一部の事案では法的観点からの助言や中立的な立場の存在が不可欠であると痛感しております。学校と保護者の間に生じる行き違いや感情的な対立を未然に防ぐためにも、スクールロイヤーの会議や面談への同席が可能な体制の整備は、教育現場にとって極めて重要な支援と考えます。現在、東京都としてスクールロイヤー制度は整備されておりますが、実際に現場で「必要なタイミングで」「対面で」「相談だけでなく同席」できる体制はまだ十分とは言えません。現場の即応性を高め、学校運営の安定を図るためにも、スクールロイヤーが学校での面談や保護者対応に継続的かつ柔軟に同席できる制度の強化と人員の拡充をご検討いただきたく存じます。学校現場を守ることは、ひいては子どもたちの安心・安全な学びの保障につながります

 

(2)教育環境条件を改善するための施策の実現

 (2)-メンターシステムの改善

  ・学校現場においては、教職員の世代交代が進む中で、初任者や若手教員の育成がますます重要な課題となっております。教育の質を持続的に確保するためには、単なる知識伝達にとどまらず、初任者が安心して職務に臨み、成長できる仕組みの構築が必要不可欠です。そのために設けられているメンターシステムは、現場において極めて重要な役割を担っています。しかしながら、現在の制度設計では、メンター教員の負担が過大になりやすく、日常業務との両立が困難であるという課題が顕在化しております。指導計画の作成、授業観察、振り返りの対話、生活面のフォローなど、きめ細やかな支援を求められる一方で、制度上の位置づけや時間的保障が十分ではなく、結果として支援が形式的になってしまう場合もあります。また、配置の基準が曖昧であり、学校規模や教職員構成によって支援の質や量に大きなばらつきが生じています。こうした状況は、初任者の孤立感や早期離職にもつながりかねず、長期的に見ても教育現場の安定を揺るがす懸念があります。つきましては、以下の点について制度の見直しと支援の充実を強く要望いたします。

・メンターに対する時間的・人的保障の明文化

・支援活動に対する報酬や評価制度の導入

・学校規模や初任者数に応じた複数メンター配置の柔軟化

・教育委員会による実践的な研修の提供と事例共有の場の創設

   初任者の定着と育成は、未来の学校づくりに直結する重要な取り組みです。どうか、現場の声に耳を傾け、実効性ある制度改善を進めていただきますようお願い申し上げます。

    (2)-② メッセージ機能・自動録音機能付き電話の全校標準配置を求める要望

   ・働き方改革が急務となる中、学校現場では依然として日中の電話対応に相当な時間と労力が割かれ、教職 員の業務負担が深刻化しています。授業中・打合せ中・緊急対応時など、即時の電話応答が困難な場面は多く、結果として教育活動が中断されるケースも少なくありません。さらに、昼夜を問わない緊急性の低い連絡が繰り返されることで、教職員の心身の負担が増加し、児童指導や校務遂行に支障を来す事例も散見されます。こうした状況を踏まえ、メッセージ機能および自動録音機能を備えた電話の導入は、業務効率化と保護者対応の質的向上の両面で極めて有効と考えます。既に導入済みの学校からは、「緊急度に応じた対応の優先順位が容易になり、電話応対負担が軽減された」「自動録音機能により不要なクレームや長時間の通話が抑制された」などの報告が上がっており、他県の調査でも同様の効果が確認されています。つきましては、全都立および区市町村立の小中学校に対し、メッセージ機能・自動録音機能付き電話を標準装備として配置する制度化と、必要な予算措置を速やかに講じていただくよう強く要望いたします。これにより、教職員が本来注力すべき教育活動に専念できる環境が整い、学校と家庭・地域との円滑なコミュニケーションが一層推進されるものと確信いたします。

 

(3)副校長の職務内容や処遇を改善するための施策の実現

(3)-効率的に講師・産育休代替教員を配置するための措置の改善を要望する。

・学校現場では教員の産休・育休取得が定着してきた一方で、それに伴う代替教員の確保や講師配置の遅れが深刻な課題となっております。欠員が出てからの人材確保や手続きに時間を要することで、教育活動の継続性が損なわれ、在籍教員への過重な負担、学級運営の不安定化など、多くの影響が生じております。 特に、小学校では学級担任制が基本であり、代替教員が迅速に確保されない場合には、担任の不在によって子どもたちの生活・学習への影響が非常に大きく、また、複数の教員が分担して臨時に対応せざるを得ない状況が長期化することもあります。こうした対応は、教育の質の低下だけでなく、教職員の働き方改革にも逆行するものです。 このような事態を未然に防ぐためには、以下のような制度的改善が不可欠と考えます。

・欠員見込みに対する事前登録型の講師バンクの拡充と情報の即時共有

・手続きの迅速化に向けた人事・給与システムの簡素化・デジタル化

・都教委主導での地域ごとの人材プール構築と即応チームの編成

・複数校にわたる講師配置の調整役を担う専門人材の配置や調整センターの設置 

これらの措置によって、現場での即応力を高め、学校運営の安定と教育の継続性を確保することが可能に なると考えております。つきましては、子どもたちの学びの保障と教職員の働きやすい環境整備の観点から、講師・代替教員の配置に関わる仕組みの抜本的な改善を強く要望いたします。

(3)-勤務管理(出退勤・休暇申請等)を含む校務・事務処理のICT化を要望します

・煩雑な事務処理が教職員の教育活動を圧迫

現在、勤怠管理、出張申請、保護者連絡、成績処理などの業務が、紙媒体・手作業・バラバラなシステ ムにより処理されており、教職員に大きな負担となっています。本来、教育に集中すべき時間が、非効率な事務処理に奪われている現状があります。

ICT化の進度に格差があり、業務効率に支障
 
自治体や学校ごとに使用するシステムが異なるため、異動時の混乱、研修負担、情報の断絶が発生し 

ています。統一的なICT基盤がないことが、都全体の教育の質を下げる一因ともなっております。

・勤怠管理の信頼性と透明性の向上が必要
      勤務時間の適正な管理と記録は、教職員の働き方改革の基盤です。現在の手書きや独自の管理方法で

,労務管理としての信頼性に欠ける面があり、トラブルの温床にもなりかねません。

東京都として統一された校務支援システムを整備し、各学校に段階的に導入すること。

勤怠管理をはじめとした業務を一元的に処理できるICT環境(クラウド化、セキュリティ確保)を整備すること。

☆ICT導入に際し、教職員への実用的な研修とサポート体制を構築すること。

 (3)―③副校長補佐の全校配置を要望します。

・業務量の著しい増加と複雑化

現在、副校長は学校の危機管理、教育活動の調整、教職員の勤務管理、保護者・地域対応、さらにはICTや特別支援教育への対応まで、非常に多岐にわたる職務を担っております。特に中規模・大規模校では、教育課題の深刻化に加え、複数の学級・学年運営に関する業務も増大しており、一人では対応困難な状況です。

・校内マネジメント体制の強化が喫緊の課題
「チーム学校」の実現には、管理職が組織全体を的確に把握し、迅速な意思決定と指導・支援を行う 必要があります。しかし副校長が常に複数業務に追われている現状では、十分なマネジメントが行えず、学校全体の対応力や職員の働きやすさにも影響を与えています。

・副校長の心身の負担と持続可能性の確保
 慢性的な長時間勤務や精神的負荷が、副校長の健康を蝕み、継続的な職務遂行を困難にしている事例も見

 られます。副校長補佐の配置により、役割を分担し、安心して働ける職場環境を整えることが急務です。

・東京都内すべての小学校に対し、副校長補佐の常設的な配置を制度化していただきたい。

・配置にあたっては、学校規模や課題に応じた柔軟な運用と、必要な予算措置・人材確保を講じていただきたい。

・副校長補佐の役割や職責を明確化し、管理職と連携した学校運営を支える体制を整備していただきたい。

東京都公立小学校副校長会(都小副校長会)は、都内の公立小学校・義務教育学校の副校長で組織する職能団体です。

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